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介護は人なり 4

2016年02月09日(火)14:48

介護業界の労働状況を、事業の立場と職員の立場から考える

〜介護労働の実態調査から見えてくるもの〜



給与アップの原資確保が難しい事業所における離職防止策は



 給与の改善が難しい事業所経営者は職員の早期離職防止や定着促進のためにどのような方策をとっているのだろう。



 早期離職防止や定着促進のための方策を聞いた問いでは、訪問介護、通所介護、入所施設を合わせた全体としては「職場内の仕事上のコミュニケーションの円滑化を図っている(定期的なミーティング、意見交換会、チームケアなど)、「賃金、労働時間等の労働条件(休暇をとりやすくすることも含める)を改善している」などが上位にきている。



 訪問系で目立つのは「労働時間(時間帯・総労働時間)の希望を聞いている」、「仕事内容の希望を聞いている」などで、働き方に工夫をこらしている。入所型施設では、「非正規職員から正規職員への転換の機会を設けている」、「能力開発を充実させている(社内研修実施、社外講習会等の受講・支援等」などの雇用形態とスキルアップが目立っている。



 通所でも訪問と同じく「労働時間(時間帯・総労働時間)の希望を聞いている」が高い割合を示していた。訪問系の事業所では特に女性スタッフの割合が高いと思われるため、子育てをしながら、自分の親の介護をしながら働いている人も多いだろう。事業所としては、スタッフの働き方に自由度を持たせることで離職防止をしていることが伺える。



 また入所施設系では訪問とは違い、勤務時間が日々安定しているため、施設の入居割合に高止まりを見せている事業所であれば、非正規雇用から正規雇用に移行しやすいのだろう。スタッフ側としては、安定して働くことのできる正規雇用を希望している方が多いので、その機会を設けることで、離職率の防止につなげている。また割合としては少なかったが、子供預かり所を設けたり、保育費用を支給したりする子育て支援を行っているところなどもあった。



介護職員側の不満はどこにあるのか。



 事業所側の回答だけでなく、介護労働者側の回答もみてみよう。



 まず、介護の仕事を選んだ理由は、正規職員、非正規職員を合わせた全体では「働きがいのある仕事だと思ったから」がトップだった。「今後もニーズが高まる仕事だから」「資格・技能が活かせるから」「人や社会の役に立ちたいから」「お年寄りが好きだから」と続く。



 働く側のモチベーションとしては、決して賃金を期待しているわけではなく、介護の仕事をしていること自体にメリットを感じているとも言えそうだ。非正規職員に目立った回答としては「介護の知識や技能が身につくから」「自分や家族の都合の良い時間(日)に働けるから」が挙がる。



 スキルアップをして正規職員になることを希望する、非正規のままで都合よい時間帯の働くことを希望していることが伺える。続いて介護関係の仕事の継続意思を問うた設問では「働き続けられるかぎり」を選択した人が54.9%で半数を超えた。



 次に「わからない」が20.7%、「3年〜5年程度続けたい」10.3%、「1〜2年程度続けたい」5.9%となっている。具体的な年数を決めて働いている人も合わせると20%を超える。具体的な年数がある人は、人生設計上の問題かもしれないが、「わからない」と回答した人は迷いがあるままで仕事をしていると推測される。場合によっては、まだ言葉になっていない不安や不満があるのかもしれない。この層に向けた施策を優先することで離職率の低下が進むかもしれない。

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